啓蟄（けいちつ）・二月節とは-二十四節気

啓蟄（けいちつ）は、例年3月5日もしくは3月6日に訪れる二十四節気で3番目の暦で、二月節とも言われています。

春らしさを感じられる時期を示す「啓蟄」について詳しく説明します。

啓蟄と二十四節気

3月の初旬、関東以西だと菜の花が咲きメジロが飛び交い、冬籠りしていた虫たちが地表に出てくる頃に啓蟄は訪れますが、どういう理由で啓蟄の時期は決まっているのだろう？と思いませんか？

そもそも二十四節気って何なの？と思うこともあるでしょう。

それぞれについて詳しく説明します。

啓蟄とは？太陽黄経が345度

啓蟄とは、天空の赤道と太陽が通る見た目の円（黄道）が南から北へ交わる点を0度とした時（これを春分と言う）、345度になった状態（瞬間）のことです。または345度になった瞬間から360度（0度）になる直前までの期間のことです。

なお啓蟄となる時間は太陽の通過する時間がエリアによって異なるため、国によって異なります。

参考までに啓蟄にあたる英単語はありませんが、春分・秋分に当たる英単語はあります。「Equinox」です。

また夏至・冬至にあたる英単語もあります。「Solstice」です。

天文学的な状態なのでいろいろな国で春分・秋分、夏至・冬至と同じ意味の単語は存在しています。

また啓蟄は「二十四節気」において3番目に配置されたものにもなっています。

啓蟄の意味

啓には「ひらく」という意味があり、蟄は「土の中で冬籠り（冬眠）している虫という意味があり、2つ合わせて、冬籠りしていた虫が土を開いて出てくるという意味となります。

この虫は一般的な昆虫などの虫だけでなく、カエルなどの両生類・ヘビなどの爬虫類など冬眠をする小型の生物一般のことを意味します。

つまり啓蟄は冬眠していた小型の生物が地上に出てくる時期ということになります。

啓蟄の日時

啓蟄は太陽黄経が345度になった時のことを示すため、時間が決まっています。

2000年から2050年までの啓蟄の時間は下記の通りです。世界時と日本の時間です。

日本の場合3月5日になることが多いですが、4年に1度くらいのペースで3月6日になることもあります。

二十四節気における啓蟄の日時と期間

天文学的な啓蟄は瞬間ですが暦や二十四節気における「啓蟄」は1日もしくは、一定の期間のことを指しています。

下記が各年の啓蟄の期間です。

• 2021年は3月5日から3月19日
• 2022年は3月5日から3月20日
• 2023年は3月6日から3月20日
• 2024年は3月5日から3月19日
• 2025年は3月5日から3月19日
• 2026年は3月5日から3月19日
• 2027年は3月6日から3月20日

天文学的な啓蟄の時から黄道の角度で15度太陽が移動した時が「春分」になるため、その前日までの期間を啓蟄としている訳です。

また啓蟄の期間を「二月節」と言うこともあります。

啓蟄と啓蟄の後の春分と合わせて1ヶ月と見做すように、2つの二十四節気を組み合わせて「節月」という月の単位もあります。

啓蟄と行事と宗教

啓蟄を基準とする年中行事や宗教的な行事はわずかながら存在します。

菰はずし（こもはずし）と虫出しの雷

今ではあまり見かけなくなりましたが、冬場、松の木に地上1～2メートルくらいの高さにワラを巻きつけているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか？

これが菰（こも）です。

マツカレハという虫がいて、松の葉を食い荒らしてしまうことから松には天敵となる虫です。

このマツカレハの幼虫が落ち葉の中で越冬する性質があることから、松に菰を巻きつけておくとそこて越冬すると考えられ、春先になったら外して燃やせば被害を受けないと言われており、行われていたものです。

今ではほぼ効果が無いということが科学的にわかっているのですが、啓蟄の頃に菰を外すことが一般的でした。

そのため菰外しは啓蟄の風物詩にもなっていました。今でも風物詩的に行う公園等があります。彦根城や浜離宮、皇居等でも行われており、伝統行事・年中行事とも言えます。

またこの頃になる雷を「虫出しの雷」と言うことがあります。

立春や啓蟄を過ぎた頃になる雷を「虫出しの雷」と言い、虫が冬眠から覚めて活動を始めるための合図であったり、この雷で冬眠から覚めると言われています。

彼岸入り

春分の日の前後3日間・合計7日間のお彼岸、彼岸入りは啓蟄の終盤となっています。

啓蟄に関すること

啓蟄に関することをいろいろと説明していきます。

啓蟄の七十二候

二十四節気の1つを更に3つに分けている七十二候、啓蟄の七十二候は下記のものです。

• 蟄虫啓戸（すごもりむしとをひらく）-初候-第七候
• 桃始笑（ももはじめてさく）-次候-第八候
• 菜虫化蝶（なむしちょうとなる）-末候-第九候

春らしさが強くなってくる候となっています。

以上、啓蟄についてでした。